企業Web担当者は、Webサイトのリニューアルの際に、「顧客中心・顧客視点」でのコンテンツ企画や、導線設計を依頼することが多くなります。
弊社では、そうした依頼から、
- クライアントがターゲットとする顧客層のニーズに対する仮説
- クライアントと競合他社の関係や業界動向などを踏まえつつ、必要コンテンツの抽出
- ユーザー導線の設計
などの基本コンセプトの策定作業を行ないます。
しかし、そうした形で設計されたはずのWebサイトが、実際に公開されてみると、期待されたユーザー行動(認知の向上、購買アクションの向上)に至らないことが程度の差はあれ、少なからず起こります。
(アクセスログ解析の結果を見ても、決して想定したとおりのユーザーの流れが見られないといったことも、みなさまも往々にしてあるのではないかと思います。)
さて、どうして、そんなことが起きるのでしょうか?
もちろん、うまくいかないのには理由があります。
大きな3つの問題点
- 想定したターゲットの「Webサイトへの集客」と「集客したユーザーへの商品訴求、企業理解の促進」にギャップがある
- ユーザーの行動心理に配慮したAIDMAやAISAS等の法則に基づく、ユーザー導線設計があまりに単純すぎる
- 初期仮説をベースにリニューアルのための設計を行ったのはいいが、その後の実際のユーザー行動の把握・分析(アクセスログをベースにした分析)を元にした改善の実行が計画に盛り込まれていない
まず、最初の問題点である想定したターゲットに対する「Webサイトへの集客」と「集客したユーザーへの商品訴求・企業理解の促進」の間のギャップに関しては、
Webサイトへの主要な集客手段として認知されている、「SEO対策やリスティング広告の使い方に関する誤解」が、いまだに残っていることに要因があります。
SEO対策やリスティング広告は確かに企業側にとっては、Webサイトへのアクセス数を伸ばす手段でしょう。
しかし、ユーザーにとってみれば、それは「欲しい情報を見つける」ための手段なのです。
この企業側とユーザー側のギャップが、そのまま、「Webサイトへの集客」と「集客したユーザーへの商品訴求・企業理解の促進」の間のギャップとなります。
いまだにSEO対策やリスティング広告でWebサイトのトップページや各製品ページにユーザーを呼び込もうとしている企業が多く見られますが、果たしてそれが「欲しい情報を見つける」というユーザーの心理を考慮していて、かつAIDMAの法則でいう、Attention(注意)からInterest(関心)への流れを理解した上での施策となっているのでしょうか?
むしろ、企業理解や商品認知を向上するのであれば、商品そのものを紹介する前に、
ユーザーの課題や悩みを解決するヒントとなるような情報コンテンツ
を、SEO対策やリスティング広告の入り口ページとして設ける導線を考えるほうが重要ではないでしょうか?
実際、私たちがお手伝いしている基礎化粧品の販売を行っているクライアント様のWebサイトでは、ユーザーのお肌の悩みに関する情報コンテンツ群を設け、その情報群を検索エンジン経由でのWebサイトへの入り口としたことで、Webサイトへの集客を伸ばすことができ、かつ、その情報群へのアクセスをきっかけとして、リピートユーザーのアクセス数も伸ばすことに成功しています。
そのほかの2つの問題点、
- ユーザーの行動心理に配慮した、AIDMA(やAISAS等)の消費者行動フローに基づく、ユーザー導線設計があまりに単純すぎる
- 初期仮説をベースにリニューアルのための設計を行ったのはいいが、その後の実際のユーザー行動の把握・分析(アクセスログをベースにした分析)を元にした改善の実行が計画に盛り込まれていない。
といった問題点に関しては、いまだに企業のWeb担当者がアクセスログ解析を元にしたユーザー行動の理解が十分できていない、また、Webサイトのマーケティング効果を上げるためには構築以上に、ユーザーの行動を常に把握しながらWebコンテンツを運用していくことで継続的改善を行っていくことの重要性を十分理解していないことに問題要因があります。
よく陥りがちな、作ることが目的化にならないように、上澄みの知識ではない、実践から得た知識と、常に最適化を図れるような設計を最初から考え、継続的な運用を出来るようにしておくべきだと思います。
ウェブのマーケティングは、作ってからが本当のはじまりなのですから。